【終活について】

 終活とはこれからの人生をよりよく生きるために介護や相続、葬儀やお墓について元気なうちに考え準備することです。しかし、いつまで健康でいられるのかは誰にもわかりません。その時に後悔しないよう、今できることを少しでもやっておくことが大切なのではないでしょうか。何から始めればいいのか迷われるのは、すぐに必要がないと考えるからでしょう。ご家族のためにと考えれば、やるべきことが見えてくるかもしれません。


【終 活】

「終活って何から始めればいいの?」

 

 終活とは、介護や相続、葬儀やお墓について元気なうちに考え準備することとありますが、先ずはご自身のこれからの人生をよりよく生きることから考えてみてはいかがでしょうか。

 

 2019年に発表された日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳となっていますが、健康寿命の調査では男性が72.68歳、女性が75.38歳と報告されています。この平均寿命と健康寿命の差が「医療や介護を必要とする期間」ということになり、男女それぞれ8.96年と12.36年になります。

 

 健康寿命の数字は一つの目安としても、これからの人生をよりよく生きるためには、今の健康状態を一日でも長く維持していたいです。そのうえで、楽しみをもつことがよりよい生きかたに繋がるのではないでしょうか。

 

 楽しみ方は人それぞれです。自然に触れることや旅行を計画することでもいいですし、趣味の作品制作や書籍の出版を目的とすることも生きがいになります。また、共感し合える仲間と一緒に地域のボランティア活動に参加することもいいでしょう。

 

 日々を楽しく過ごす工夫が終活ならば、今日からでも始められるのではないでしょうか。


【エンディングノート】

「どんなエンディングノートを選べばいいの?」

 

 エンディングノートとは、人生の最終章を迎えるにあたり自身の思いや希望をご家族などに伝えるためのノートです。

 

 2021年の「一般社団法人終活協議会」の調査によると、機会があったらエンディングノートを書いてみたいという人は4割以上いるにも関わらず、エンディングノートを書いていますかの質問には1割足らずの人しか「はい」と回答していません。

 

 アンケートの数字から、エンディングノートはかしこまっていてはなかなか書けないことが分かります。備忘録として気軽に書き始めることがおすすめです。記載内容としてはどれもほとんど変わらないので、廉価なものでいいでしょう。必要があるならば新しく購入して更新していくくらいの気持ちで書き始めてください。

 

 エンディングノートを書く動機としては、「もしもの時に家族が困らないよう」「日常生活の備忘録として」「面と向かっては伝えることが難しいことを書くことによって伝えられる」などが多いようです。

 

 財産の相続については、エンディングノートではなく遺言書の作成をおすすめします。


【生前整理】

「断捨離なんて無理!」

 

「断捨離」という言葉が一時流行りましたが、物を大切にする時代に育ったシニアの方には、捨てるという行為に抵抗を感じる方が多いようです。

 

 身の回りの整理を始めるにあたって、物を捨てることではなく、ご自身の持ち物を確認することを目的として取り組んでみてはいかがでしょうか。期間を決めて、「今月はこの棚にあるものを確認してみよう」という気持ちで始めてみると、意外とできるかもしれません。

 

 想い出に浸りながら、時間を掛けてゆっくりと整理しているうちに、思いがけない懐かしい物が出てくるかもしれません。また、「こんなところにあった!」のように忘れかけていた探し物に出会えるかもしれません。もしも、「なんでこんな物を取っておいたのだろう?」という物が出てきたら、それは処分してしまいましょう。

 

 一つの棚がきれいに整頓されれば、他の場所もやってみようという気持ちになってきます。気が付いてみると、いつの間にか家の中全体がきれいに整理されているなんてことになるかもしれません。

 

 因みに、断捨離とはモノへの執着心を減らし、余計なモノを増やさないことで、身軽で快適な生活と人生を手に入れることが目的で、ヨーガの行法が元になっているため、単なる片付けとは一線を引くとのことです。



【平穏死】

「延命医療は希望しない!」

 

 ここ数年、平穏死という言葉を耳にする機会が増えてきました。平穏死とは「末期の患者が延命医療などを受けず、自然な衰弱にまかせて死亡すること」とあります。

 

 自然に穏やかにあの世へ旅立っていくために、死を先延ばしにする延命医療を受けないという選択肢はあるのですが、現実には、末期の状態でもご家族が延命処置を希望されてしまうようです。

 

 長尾和宏著「平穏死」10の条件 によると、「8割の人が平穏死を望んでいるにもかかわらず、8割の人が平穏死できない」との日本の医療の現実を思い知らされます。

 

 終末期の患者が病院に入院すると、延命医療を受けることが必然で、延命処置でいったん回復してしまうと、本人やご家族が希望しても途中で延命医療を中止することは、現在の社会状況では困難なようです。また、「救急車を呼ぶ」ということは、蘇生、それに続く延命医療への意思表示とのことのようです。蘇生処置で息を吹き返した後は、延命医療に移行してしまいます。

 

 平穏死を望むのであれば、病気や老衰の終末期に緊急入院をするのか、食べられなくなったときはどうするのかを、事前にご家族でよく話し合っておくことが1つ目の条件。2つ目の条件は、在宅医療を選択肢の一番目にイメージし、訪問診療と往診に対応してくれる在宅医を元気なうちから探しておくこと。そして大切なことは、普段から救急車を呼ぶ意味をよく考えておくこととあります。平穏死の望みは、最終的にはご家族の判断に委ねられることになるからです。

※延命医療とは、回復の見込みがなく死期が迫っている終末期の患者に対して、生命維持のために行う医療行為。

人工呼吸器の装着、胃ろうによる人工栄養法、人工透析などが一般的な延命処置にあたります。

 

 死期が迫ったときに延命医療を望まないことを事前に表明する 一般社団法人日本尊厳死協会の「リビングウイル=終末期医療における事前指示書」は1976年より普及活動を継続し、会員数は11万人を越えてきました。また、遺産相続などの遺言とセットで最期の迎え方を検討し、公正証書で「尊厳死宣言」を表明する人も増えているようです。


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