年々、平均寿命が延びているという報道がされていますが、寝たきりの状態や認知症での長生きは誰も望みません。長生きができるのであれば、元気で好きなものを食べ、好きなところへ自分の足で行けるような生活を送りたいです。今の健康状態を維持するためにはどのような生活を実践すればいいのか、このことを考えることが終活のはじめの一歩になるのかもしれません。
「ピンピンコロリで死にたい⁈」
「家族に迷惑を掛けたくない」「苦しみたくない」などの理由から突然死を願う人が多くいます。しかし、こればかりはその時になってみないと分かりません。
いつまでも健康な身体で日常生活を送りたいと考えるならば、健康寿命を延ばすことを心掛けてください。健康寿命とは、2000年に世界保健機関が提唱した概念で、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことを言います。つまり、何歳まで自立した生活を送れるのかということです。
健康寿命を延ばすためには、栄養バランスのとれた食生活や適度な運動、自然に触れることや趣味などの楽しみを見つけることなどが挙げられています。十分な睡眠は、規則正しい生活を行う上で必要不可欠なこと。また、タバコについては禁煙が望ましいと考えられています。
厚生労働省の調査でも、多少の支障はあっても「自分は健康である」と自信をもつ人は「健康でない」と考える人に比べて長生きをするそうです。また、入院が長くなると健康でなくなる可能性が高くなることや、薬は少なめが健康の秘訣ともいわれています。
日頃から、健康であると感じられるような生活を送ることが、ご家族にとって迷惑を掛けないことになるのではないでしょうか。
「年齢よりも老けて見られる⁇」
年齢を重ねると腰痛や肩こり、ひざの痛みなどの症状がでてきます。特に姿勢が悪い人は、身体(背骨)のゆがみによって腰痛や坐骨神経痛だけでなく、頭痛や冷え症、むくみや便秘などの症状も表れるようです。猫背の人には慢性的な肩こりや首の凝りに悩んでいる人が多くいるとも言われています。また、背中を丸めた姿勢や、腰を曲げていては実年齢よりも老けて見えてしまいます。
一般的に悪い姿勢とは楽な姿勢のことです。背中の力を抜いたり、重心を片側にかけることで楽に感じられるようですが、実際には他の部分に負担がかかり、長時間その体勢を続けることで凝りや痛みが発生するそうです。また、悪い姿勢が習慣になってしまうと、肺や消化器系の臓器が圧迫されさまざまな不調を招くとも言われています。
先ずは良い姿勢を身体で覚えることから始めてみてください。そのためには、自身で鏡を見ながら左右の肩や腰の位置が水平になっているか、猫背になっていないかなどをチェックしてみることです。天井から頭のてっぺんを糸で釣られているような感覚や、おへそ周りを縦に伸ばした状態を意識することが良い姿勢とも言われていますので参考にしてみてください。
良い姿勢を意識することで肩こりや腰痛、坐骨神経痛を抑えることができ、背筋を伸ばすことによって見た目にも若々しく明るい印象を与えられるのであれば、実践してみる価値があるかもしれません。日頃から意識することで、自然と良い姿勢を保つことができるようになってくるはずです。
※参考資料 オレンジページ「おとなの健康 vol.6」
「歯が伸びてきた⁈」
健康を維持するためにはバランスよく食事を摂ることはいうまでもありませんが、よく噛んで食べることも大切です。
照山裕子著「噛む力が病気の9割を遠ざける」によると、よく噛むことによって脳の血流がよくなり、前頭前夜や海馬が活性化するそうです。このことが脳の老化を防ぎ、認知症予防につながるという研究結果も出ています。別の研究結果でも噛むことで集中力を高め、記憶力がアップすることが報告されています。また、口内を健康に保つことで、誤嚥性肺炎や糖尿病、動脈硬化やインフルエンザなどの病気の予防効果もあるそうです。
歯を失う原因の第1位は歯周病だと言われています。歯周病は口内環境が不衛生になることが原因で起こる病気で、自覚症状がないまま進行してゆきます。歯肉が赤い、歯が伸びてきた、歯の隙間が広くなってきた、口臭が気になるなどの症状があるならば歯科検診をおすすめします。
口腔ケアを心掛けること、つまり虫歯や歯周病を治療・予防し、口内の健康を良好に保つことが健康で長生きする秘訣だということです。
薬で健康を維持するのか、口腔ケアを意識することで健康を維持するのか、あなたならどちらの方法を選択しますか。
「適度な運動ってどのくらい⁇」
「健康を維持するためには適度な運動が必要」と言われていますが、「適度な」とはどのくらいの運動量だと思われますか。
東京都健康長寿医療センター研究所で高齢者の体と健康について調査している青柳幸利氏によると「1日8000歩、中強度の身体活動20分」と報告されています。
中強度の運動は体に適度な負荷をかけて細胞を活性化させることで、最も健康で長生きできる体をつくり出す運動だそうです。この中強度の身体活動をバランスよく取り入れることで、特別な運動やスポーツの習慣がなくても、健康を維持する効果が期待できるそうです。
最もおすすめな中強度の運動は、いつもより少し速度を上げて歩く「速歩き」。速歩きの基準は1分間に120歩、さらにいつもより歩幅を10センチプラスして歩くとのこと。
「1日8000歩、中強度の身体活動20分」を実現すると、うつ病や骨粗しょう症、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳卒中、認知症、ガンなどの病気や症状を予防できることが研究からわかっているそうです。
中強度の身体活動は年齢や体格、性別によって異なるようですが、年齢別によって数値が定義されています。60歳以上の人にとって「速歩き」以外の中強度運動は、軽いウエイトトレーニングや体操、ボウリング、水中運動など。また、生活の中での活動では、家財道具の片付けや荷物の梱包、階段の上り下り、掃除機がけ、草むしりなどが中強度の活動にあたるとのこと。
日常生活の中でこれらを意識して取り入れることで、結果的に「1日8000歩、中強度の身体活動20分」が実践できるようです。
病気は「治す」のではなく「ならない」、青柳氏はそう言っています。
※参考資料 青柳幸利著「なぜ、健康な人は運動をしないのか?」
「あくびが止まらない⁉」
睡眠は量より質と言われていますが、それは一定の睡眠時間を確保できたうえでのことのようです。日中に眠気を感じるようであれば、睡眠負債の蓄積を疑ってみた方がいいかもしれません。
毎日のちょっとした睡眠不足が少しずつ蓄積され、慢性的な睡眠不足になることを睡眠負債と呼び、睡眠研究の分野では健康を蝕む深刻な問題として対策が叫ばれています。誰もが一定の睡眠時間を必要としており、それより睡眠時間が短ければ、その足りない分が徐々に溜まって睡眠負債となります。つまり睡眠負債とは眠りの借金のようなものです。
判断ミスやもの忘れ、運動能力の低下や怒りっぽくなるなどの症状が睡眠負債の影響と考えられます。さらに睡眠負債が続くと認知症の原因とされる物質が脳に蓄積されることや、がん細胞の増殖を加速させることが最新の研究によって分かってきました。
7時間前後の睡眠が健康にいいと言われていますが、長く眠れない人は睡眠の質を高めることでも睡眠負債を返済することができるようです。スタンフォード大学医学部精神科教授の西野精治氏によると、眠り始めの90分、最初の深い眠り(ノンレム睡眠)でしっかりと脳と身体をメンテナンスすることができれば、睡眠負債を返済しているのと同じ効果が得られ、さらに睡眠リズムも整って目覚めも良くなるとのことです。
たかが睡眠、されど睡眠。
※参考資料 NHKスペシャル取材班「睡眠負債」/ オレンジページ「おとなの健康 vol.6」
「何もする気がおきない⁇」
グリーフケアとは、大切な人を亡くして悲嘆(グリーフ)にくれる人を、その悲しみから立ち直れるようさりげなく寄り添い援助することです。悲嘆から立ち直るにはいくつかのプロセスがあるのですが、このプロセスを歩むことをグリーフワークといいます。
葬儀などの一連の儀式や手続きが終わったころから、何事にも無気力・無関心・自責感などのうつに似た症状や、周りから無視されていると感じるなどの心情は通常に見られる悲嘆反応です。また、睡眠障害・食欲不振・疲労感などの不調も、悲嘆のうつ的不調としてはごく普通に見られる症状です。
心にためていた思いを誰かに話すだけでも気持ちが楽になれます。グリーフケアアドバイザーとしてお手伝いできることがあればご相談ください。